商品登録のやりやすさは、「商品情報の規格整理」と「登録ルール」で決まります。 この2つを先に作っておくと、担当者が替わっても、新人やパートに任せても、外注に出しても、安定した品質で登録できます。
この記事では、「商品情報シート」による商品情報の規格整理方法と、「登録ルール」の決め方を解説します。完成版のシートとルール表は、記事末尾で配布しています。
商品ジャンル、取扱いメーカーが多岐にわたると商品規格の整理には苦労しますよね。複数のモールに出店していると、必要となる情報も変わってくるので尚更です。
「この商品名はこの順で書く」「この色はこう呼ぶ」「この画像は載せない」といった判断基準は、本人にとっては当たり前でも、他の人にとっては当たり前ではありません。商品登録の段取りが、いつのまにか特定の担当者の頭の中にだけあるということも少なくないでしょう。
弊社のこれまでの案件でも、登録作業者が急な事情でいなくなったケースなども数多く見てきました。担当者が替わった途端に、既存データとの齟齬が発生することなどはザラで、商品によっては誤情報の掲載が命取りになるケースもあると思います。
1. 結論:「シート」と「ルール」の2つがあれば、誰でも同じ品質で登録できる
商品登録の属人化とは、商品名の付け方・表記・画像の扱い・登録の手順などの判断基準が、特定の担当者の頭の中にだけあり、その人でなければ、同じ品質で登録できない状態のことです。
商品情報シートとは、登録に必要な商品の情報を、1行に1商品、1列に1項目で、モールに依存しない共通の列名でまとめた表です。登録ルール表とは、商品名の命名や表記、画像の規格など、シートに入らない判断基準を、一覧にした表です。
| 作るもの | 役割 |
|---|---|
| 商品情報シート | 商品ごとの、登録に必要な情報を1行にまとめたもの。「モール」や「商品ジャンル」、「取扱いメーカー」を問わず、統一した列名で情報を保持する。 |
| 登録ルール表 | 「商品情報シート」に網羅されない情報、「商品名の命名ルール」や「商品規格の表記ルール」「画像規格」などのメタ的な判断基準を一覧にしたもの |
この2つがあると、次の3つが変わります。
- 聞かれなくなる:「これはどう書くのか」という質問が、ルール表を見れば解決する
- ズレが出なくなる:モールが増えても、同じシートから登録できる
- 渡せるようになる:作業者にも外注にも、シートとルール表を渡すだけで頼める
2. なぜ商品登録は属人化するのか
属人化の原因は、判断の基準が共通ルールがチーム内に周知されていないことです。典型的なのは次の3つです。
2-1. データ入力を行う際の基礎を理解していない
モールの商品カタログには、技術的に登録できないものがあります。
代表的なものとしては「機種依存文字」です。
「①②③」「Ⅰ・Ⅱ」「㈱」「㎜」のような文字は、パソコンやスマホの環境によって表示が変わったり、文字化けしたりすることがあります。CSVで一括登録するときは取り込みエラーの原因になり、登録できても公開後に「?」と表示されることがあります。
このほか、半角カタカナや、セル内の余計な改行・タブなども、モールや項目によっては受け付けられません。経験者は「この文字は使わない」と自然に避けていても、書かれていなければ引き継がれず、後任の担当者が同じ失敗を繰り返します。こうした「載せない表現」は、4章のルール表に書き出しておきます。
機種依存文字については、機種依存文字を使うとどうなる を参照してください。
2-2. モールごとのガイドラインの違いが理解できていない
商品名の文字数の上限は、モールによって異なります。画像のルール、枚数やサイズ、背景の指定も違います。
従来の担当者は経験則に応じてそれらを対応していたかもしれませんが、知らない人がそれをいきなり取り扱うと、取り込みでエラーになったり、ガイドライン違反で何らかのペナルティを受けることになるでしょう。
2-3. 商品情報のルール設計が甘い
例えば、色名に関するルールをドキュメントとして残すことなんてしないと思います。
ところが、似たような色味であってもメーカーにより様々な呼称が用いられますし、時には同一メーカー内でも類似した色味に異なる呼称が用いられることもあります。
- ピュアホワイト、スーパーホワイト、ブライトホワイト、クリアホワイト
- スノーホワイト、パールホワイト、シルキーホワイト
- アイボリー、オフホワイト、ナチュラルホワイト
- クリーム、ミルク、ミルキーホワイト、バニラ
メーカーは自社のさじ加減一つなので色名をどのように表現しようと自由ですが、小売店がそれらの色名で管理していると管理が煩雑になりますし、色に割り振るカラーコードは類似色ごとに設定するので、都度ルールを考えるのも大変です。
表ではメーカー呼称を用いつつ、管理用の略称としては 色名の略称まとめ のように揃えておかないと後々面倒です。
3. 商品情報シートに持たせる項目
商品情報シートは、1行に1商品、1列に1項目で作ります。列名は、特定のモールの項目名ではなく、自社で呼ぶ名前にします。モールごとの項目名への対応づけは、登録する段階で行います。
| 区分 | 項目 | 例 | 持たせる理由 |
|---|---|---|---|
| 分類 | カテゴリ | 自社の分類 | モールごとのカテゴリへの対応づけの起点 |
| 識別 | 親商品コード | ab-001 | 色・サイズ違いを同じ商品として束ねる |
| 識別 | 商品コード | ab-001-bk-m | 全モール・売上集計で共通のキーにする(色・サイズごとに1つ) |
| 識別 | バリエーション | ブラック/M | 色・サイズの違いを表す |
| 名称 | 商品名(共通) | ブランド名 商品名 型番 | 全モールの商品名のもとになる |
| 価格 | 販売価格・定価 | 3,980 | 価格の修正をシート1か所で済ませる |
| 説明 | 特長・仕様・注意事項 | 箇条書き | 説明文のもとになる。AIで説明文を作る際の素材にもなる |
| 画像 | 画像ファイル名 | ab-001_01.jpg | 命名の規則で、全モール分を組み立てられる |
| 管理 | 登録状況・担当・更新日 | 楽天済・Amazon未 | 誰が、どこまで登録したかを共有する |

「全モール共通の情報」と「モール依存の情報」とでシートを分けておくことが出来れば、それがベストです。「全モール共通の情報」は共通のシートを一度修正すればOK、「モール依存の情報」に関しては別シートで管理するといった具合です。
4. 登録ルール表に決めておくこと
登録ルール表は、「判断が分かれる点」を先に決めておくための一覧です。最低限、次の6つを決めます。
| ルールの項目 | 決めること | 例 |
|---|---|---|
| 商品名の順序 | どの順で並べるか | ブランド名→商品名→型番→特長 |
| 表記の統一 | 全角・半角、単位、色名 | 数字は半角、色は略称表に従う |
| 必須項目 | 空欄にしてはいけない列 | 商品コード・商品名・価格・画像1枚目 |
| 載せない表現 | 使ってはいけない文字・表現 | 機種依存文字、誇張表現 |
| 画像の規則 | 枚数・ファイル名・背景 | 1枚目は白背景、ファイル名は商品コード_連番 |
| 確認の流れ | 誰が、いつ、何を確認するか | 登録した人とは別の人が、公開前に確認する |
規則の細かい数値は、モールの仕様に合わせて決めます。商品名の文字数は CSV一括編集 文字数上限の正しい理解、画像は モール別 商品画像ガイドライン で確認できます。
5. 導入の手順:4ステップ
商品情報シートと登録ルール表は、次の4ステップで導入します。
| ステップ | やること | できあがるもの |
|---|---|---|
| 1. 判断基準を書き出す | 担当者に、商品名の付け方・表記・画像の扱いなど、普段の判断を聞いて、書き出す | 判断基準のメモ |
| 2. 商品情報シートを作る | 3章の項目を、1行1商品の表にする。列名は、自社で呼ぶ名前にする | 商品情報シート |
| 3. 登録ルール表を埋める | 4章の6項目を、ステップ1のメモから決めていく | 登録ルール表 |
| 4. 別の人が、1商品を登録してみる | 質問が出た点を、ルール表に書き足す | 誰に渡しても使える状態 |
ステップ4で、書かれていない判断が見つかるたびに、ルール表へ足していきます。この繰り返しで、担当者の頭の中にあった判断基準が、少しずつ、表に移ります。
6. 渡す相手別の使い方
同じシートとルール表で、渡す相手が変わっても対応できます。
| 渡す相手 | 渡すもの | 任せられること |
|---|---|---|
| 担当者の交代 | シート+ルール表 | 前任者の続きから、そのまま引き継ぎ |
| 外注・代行 | シート+ルール表+登録状況 | 登録作業そのもの。シートに書かれた範囲で依頼できる |
外注に出すときも、シートがあれば、「何を渡せばよいか」「どこまで頼むか」を迷いません。自社で続ける場合も、同じシートが引き継ぎの資料になります。
7. シートから先へつなげる
商品情報シートが整うと、その先の作業もつなげられます。
- 説明文の作成:シートの「特長・仕様」を素材に、生成AIで説明文を作れます。規約NG表現のチェックまで含めた手順は、商品説明文を生成AIで作るプロンプト集 にまとめています
- 売上の集計:商品コードをシートに揃えておくと、モール別の売上と突き合わせやすくなります。楽天・Amazonの売上をスプレッドシートに自動集計する方法 では、売上CSVの取り込みを自動化しています
最初の一歩は、「商品情報シート」を1枚作ることです。
8. よくある質問
Q. 商品登録の属人化とは、何ですか?
商品名の付け方・表記・画像の扱いなどの判断基準が、特定の担当者の頭の中にだけあり、その人でなければ、同じ品質で登録できない状態です。担当者が替わったときに、既存の商品データとの表記のずれが出たり、誤った情報が掲載されたりする原因になります。
Q. 属人化を防ぐには、何から始めればよいですか?
登録ルール表の6項目のうち、「商品名の順序」と「必須項目」から決めるのがおすすめです。普段の判断を書き出して、ルール表に移すところから、始められます(上の「5. 導入の手順:4ステップ」)。
Q. 商品情報シートには、どんな項目を入れますか?
分類(カテゴリ)、識別(親商品コード・商品コード・バリエーション)、名称(商品名)、価格(販売価格・定価)、説明(特長・仕様・注意事項)、画像(画像ファイル名)、管理(登録状況・担当・更新日)です。
Q. 外注や代行に出すときは、何を渡せばよいですか?
商品情報シートと登録ルール表に加えて、どこまで登録したかが分かる登録状況を、渡します。シートに書かれた範囲で、依頼できます。
Q. モールが増えたとき、シートを作り直す必要はありますか?
作り直す必要はありません。「全モール共通の情報」と「モール依存の情報」を、別のシートで管理しておけば、共通の情報は、1回直すだけで済みます。モール依存の情報だけを、新しいモール用に足します。
Q. 商品情報シートと登録ルール表は、どこで入手できますか?
LINE友だち限定の特典として、配布しています。記事の末尾の、LINE登録のボタンから、受け取れます。
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10. まとめ
- 商品登録の品質は、「商品情報の規格整理」と「登録ルール」で決まる
- 属人化の原因は、判断の基準が書かれていないこと
- シートは、自社で呼ぶ名前の列で作り、モールごとに変わるものだけを別に持つ
- ルール表には、順序・表記・必須項目・載せない表現・画像・確認の流れを決める
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※この記事の仕様に関する記載は2026年10月時点の情報です。モールの画面や項目名・上限は変更されることがあります。


